2016年5月号「鉄道ファン」

駅弁の「あら竹」をご紹介いただきました!


『松阪牛が鉄道ファンとのつなぎ役 駅弁の「あら竹」』PDFファイルはコチラ

三重県松阪駅、駅弁の「あら竹」。新竹浩子4代目社長が先頭に立って活躍する、創業120年を迎えた老舗駅弁屋だ。
松阪牛で有名な地域ゆえ、このお店では牛肉を使った魅力ある駅弁がたくさん。松阪近隣で運転されるイベント列車や鉄道イベント会場においては、あら竹の駅弁は欠かせない存在。また、かつては、旧ドライブインあら竹に蒸気機関車が静態保存されていたことも。単に駅弁を販売するだけでなく、鉄道を愛し、駅弁を通して鉄道ファンとの繋がりを大切にされているのが駅弁の「あら竹」である。
ここでは、今月号の特集「JR東海」にちなんで、松阪の「駅弁のあら竹」をご案内しよう。

■沿 革
明治26(1893)年12月、参宮鉄道が敷かれ松阪駅が開業。それにともない、松阪駅舎と線路建設のための土地買収の仲介をした褒美として、初代社長 新竹真之丞が松阪駅での売店の営業権を取得。明治28(1895)年11月、松阪駅利用客相手の小さな売店をはじめ、新竹商店の創業となる。
 2代目 新竹亮太郎は、地元松阪の名産「松阪牛」に目を付け、構想1年、日本で初めての牛肉を使った、しかもブランド牛「松阪牛」の駅弁「元祖特撰牛肉弁当」を誕生させ、昭和34(1959)年7月15日には紀勢本線全線開通を祝す松阪駅で、あら竹の「元祖特撰牛肉弁当」の初売りが実施された。販売価格は当時全国でいちばん高い駅弁である150円。 経木の折箱、2段重ね、たいへん豪華な駅弁で、その名はたちまち全国に広まり、昭和42(1967)年には、日本観光新聞社主宰の全国駅弁コンクールで3位に選ばれる。その後、松阪牛の名声の高まりとともに、全国の有名百貨店の駅弁大会に数々出品、人気駅弁となる。
 平成20(2008)年5月、新竹浩子 4代目社長就任、現在に至る。平成27(2015)年11月、創業120周年を迎える。

■多彩な駅弁ラインナップ
松阪牛で有名な土地柄もあって、松阪牛、黒毛和牛を使った駅弁の種類も多彩でその数は14種(要予約品含む)!
 最新作であり、昨年(平成27年)の創業120周年・駅弁誕生130周年記念に発売された「松阪牛と本居宣長さんと松阪もめん」や、牛の形をしたパッケージとふたを開ければメロディーが鳴る「モー太郎弁当」など魅力ある駅弁がたくさん。また、15種の中から希望の掛け紙を選ぶことができる「元祖特撰牛肉弁当」は鉄道ファンにはうれしい限り。

■松阪での販売
松阪での販売は松阪駅前の本店と松阪駅JR改札口横にて。なお、事前に予約すればお弁当1個から松阪駅での列車積み込み(特急“南紀”・快速“みえ”・近鉄電車、乗車口ドア付近受け渡し)も可能である。

■撮影名所もすぐ近く ドライブインあら竹
紀勢本線の撮影名所が付近に散在する三重県度会郡大紀町の「ドライブインあら竹」でも駅弁は購入可能! 場所は紀勢本線で言えば三瀬谷駅と滝原駅の間。国道42号線に面し、裏手を紀勢本線が走るという好立地なのだ。
 土産物やレストランを有する店内では松阪駅前の本店と同じ種類の駅弁が販売されており、ここで駅弁を購入すればレストラン内でそのお弁当を食べることができる。また、店内には近隣で撮影された鉄道写真や、昔懐かしい看板の類もたくさん飾られており必見!

■イベント列車・イベント会場でも大人気!
本店、松阪駅売店、ドライブインのほか、イベント列車やイベント会場でも大人気のあら竹の駅弁。イベント列車での販売の際には、運が良ければ今は珍しくなったホームでの立ち売りの姿も。また、有名百貨店の全国駅弁大会などに出店されることもしばしばなので、チェックをお忘れなく!

■おじいちゃんの機関車・C11 312号機のこと
昭和49(1974)年ごろ。現 新竹浩子社長の祖父にあたる2代目社長 新竹亮太郎は、国鉄天王寺鉄道管理局からの「機関車買いませんか」という話しを受け、悩みに悩んだ末、「駅弁屋として機関車にご飯を食べさせてもらったようなものやから」と、恩返しのつもりで購入を決断。
 車両は、当時の国鉄会津線で活躍し、現役引退したばかりのC 11 312号機。 会津若松から線路上を走行し松阪駅まで輸送。その後、松阪駅構内で分解され国道42号線を陸送。そして、松阪市八太町の旧ドライブインあら竹にて再び組み立てられ、敷地内ての展示となった。
 時は移り、昭和61(1986)年ごろ、伊勢自動車道開通にともない、松阪でのドライブイン営業は困難となり、店舗は度会郡大宮町へ移転。C11 312号機をこのままドライブイン跡地に置いておくか、ばく大な輸送費の掛かる新店舗に移すかどうか悩んでいたタイミングに、大井川鉄道から譲って欲しいとの打診が。最終的にもう一度活躍の場が与えられるならということで手放すことを決断。その後、C11 312号機は大井川鉄道で現役復帰を果たし、平成19(2007)年9月8日まで活躍することとなった。

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こんな鉄道テイストいっぱいの「あら竹」。たっぷりと鉄道を感じることができた訪問であった。。空腹も満たされ大満足!

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